2005.03.12 Saturday
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もしバブルが100年ぐらい続いたならば、社会は成熟していた可能性があると思います。バブル期には女性の社会進出や企業メセナなど、プラスの面もあったからです。しかし現実にはそれは、短期間に最悪の形で終わってしまった。
精神面で言えばバブルは、「マル金(金持ち)・マルビ(貧乏)」という分類法がはやったように、持てる者が持たざるものを臆面もなく揶揄する、という下品な社会を作ったと思います。バブル崩壊後もその下品さは残った。そして今、バブルを楽しいと感じた人々、欲望を全開にしてしまった人々が閉塞感の中で行きはぐれ、右往左往しています。中でも40歳前後の女性が変だというのが私の直感です。「和歌山カレー毒物混入」などの事件もおそらく、こうした状況と無関係ではない。
桐野夏生 / 「中流」家庭の階層分断
朝日新聞2005年1月4日